君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



「Ryo、一言」

「君たちSHADEの最後のメンバーが居るから、
 光をくれるから、俺たちは何処までも走り続けられる。 
 
 今日は有難うございました」


そう言って、ステージ側に深くお辞儀をするRyo。


「んじゃ、最後。
 何時ものヤツ行こうか。
 隣の奴とくっついて、手を取り合ってくれ」


促されるままに、見ず知らず人たちと繋がっていく
手と手の繋がり。


「せーの」


琢也さんのコールの後、全員がメンバーと
同じように両手を振り上げてジャンプした。



拍手に包まれる会場内。

会場内にはLIVEの演奏で耳にした曲のインストが
ゆっくりと流れていた。




「お疲れ様でした」



隣に居たファンの人たち同士も、
メンバーがステージから消えた途端に、
お互いの共有した時間を労いあうように声をかけていく。



「おっ、お疲れ様でした」



駆け抜けたステージが終わった頃には、
心地よい疲労感。



余韻も残ったまま、帰り際にちゃっかり、
SHADEのCDを購入して帰宅する。



夢のような時間は過ぎていくのも早くて。




翌日、晃穂に見送られて昂燿校へと向かった。
次に逢えるのは、夏休み。



もっと上手くなりたい。



次に逢える時は、『上手くなってんじゃん』なんて
可愛げなくアイツが呟いてくれるほどに。

< 80 / 245 >

この作品をシェア

pagetop