さよならの魔法



過去は消えないし、初めて恋をした記憶もなくならない。

捨てたつもりになっていたって、結局は手の内に戻ってきてしまうもの。


そうやってあがいているうちは、忘れることなんて出来やしないのだ。




だったら、私は一緒に生きていく。

過去を消すのではなく、過去とともに生きていく。


苦い思い出も、忘れられなかった初恋も、全て抱えて生きていくから。



いつか、時が解決してくれる日が来るまで。

笑って話せる様になる、その日まで。


無理に忘れようとすることを止めたのだ。

自分に無理を強いているうちは、忘れられないということを知ったから。




過去を悔いている自分も、ここに立っている自分も、全て私だ。

情けない自分も、見栄を張ってしまう自分も、みんなみんな私なんだ。


そう思える様になった。

そのことが分かっただけで、この町に戻って来て良かったと思う。





さよなら。

さよなら。


大好きでした。

あなたのことが大好きでした。



あなたはいつだって、とてもキラキラしていた。


真夏のお日様みたいに。

煌めく星みたいに。


キラキラしているあなたを見つめているだけで、私まで輝いている様に思えた。



そんなこと、ないのにね。

ある訳ないのにね。


太陽みたいなあなたの笑顔は、私の心まで照らしてくれた。



あまりにも、私とは違うから。

違い過ぎるから。


遠く離れた場所から見つめているだけで、胸がいっぱいになっていく。







きっと、もう会うことはないけれど。

会わせる顔なんて、ないけれど。


初めて、好きになった人。

私の初恋の人。



私は、あなたのことが大好きでした。



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