～宿命～

新石：「何だよ～！君達ぃ！やめてよ！」
明隆：「…君達？」
走りながら後ろを振り返った。
何故か正道がついてきている。
定道は足が遅いから来ていない。
孝道は言うまでもなく、運動嫌い。
あの巨体を揺らして早く走れる訳がない。
明隆：「正道！手伝ってくれるんか？」
正道：「もちろん手伝いますぜ！」
明隆：「ありがとう！んじゃ、先回りしてくれるか？」
正道：「あいよ！」
俺一人では捕まえられなかっただろう。
意外と足の速い新石に差をつけられ始めていたからだ。
明隆：「今すぐ捕まえたるからなっ！ハハハッ！」
頭がおかしくなったのではない。
かといって別に楽しい訳でもなかった。
ただ、笑って余裕があると見せかけ、新石の精神をジワジワ追い詰めていたのだ。
不安になったのか新石がチラチラ振り向いて俺との距離を確認する。
明隆：「ふざけんなっ！」
歯を食いしばってスピードを上げた。
それを見た新石もスピードを上げる。
明隆：「どんだけタフなんや！」
諦めたい気持ちを根性でねじ伏せ、離されまいと必死でくらいついた。