～宿命～

全員を潰し終え、うつむいた状態で水和の方へ振り返った。
きっと震え上がり、俺が近づくと後ずさって距離を置く。
今までもそうだった。
ただ暴走族から助けただけなのにいつも化け物を見るような怯えた表情をみせ、慌てて逃げ去られる。
今回も俺は恐れられ、また一人で任務を受けると思った。
そして、ゆっくり頭を上げる。
目の前には水和の姿はなかった。
見えたのはアスファルトについた水和の血痕と割れた瓶だけだった。
明隆：「だろうな。こんな俺を受け入れられる女なんて安居だけ…。」
心の底では泣いていた。
ズーズーと鼻水をすすって。

がっくり肩を落として帰ろうとした時、水和の声が聞こえた。
水和：「見捨てるの？助けてよ！」
明隆：「アイツはあんな言い方しねぇ。」
俺は頭を振り、幻聴をかき消す。
少し歩くとまた声が聞こえた。
今度は小さく「最低」と。