～宿命～

第31章 泣き虫毛虫

明隆：「今日も静かな夜だ。」
バイトがない日は必ず二階の空き部屋を利用している。
奴等がいつ動くか分からないこの状況下でのんびりと家でくつろいでいられないからだ。

俺はテレビやラジカセすらない部屋でただぼんやりと光り輝く夜空を見上げていた。

深夜３時をまわった頃、ペタペタと廊下を裸足で走る音が響き渡る。
明隆：「もぉっ！」
まったりしながらウトウトしていた心地よい時間をペタペタと走る不気味な音が全てをぶち壊した。
苛立ちながらドアから顔を出す。
水和：「ぎゃっ！」
明隆：「うるせぇぇぇ！…ん？」
目の焦点が合うと首をかしげた。
明隆：「お前…何でパンツとブラ…ぐうッ！」
水和：「変態っ！」
彼女は下着姿で廊下を走り回り、俺が理由を聞こうとすると顔面に足の裏を打ちつけた。
かかとが鼻を直撃し、目元がじんじんする。
明隆：「痛ってぇ～！おいっ！ちょっと来いっ！説教や！」
水和は観念したのか自分の部屋へ帰った。
明隆：「来いって言ったのに！…アホらし。寝よ。」
俺は再び布団の上に転がった。