~宿命~
俺は木刀に集中してしまっていた。
その瞬間、九嶋が熊の手で俺のお腹に三本線をひいた。
服は破け、お腹から血が滲(にじ)み出す。
九嶋:「よそ見してんじゃねぇぞ。クズ。」
最後の一言で抑制していた糸がプツリと音を立てて切れた。
俺は何も言わず木刀を手放し、左右の奴らの顔面を蹴り入れる。
視線は九嶋ただ一人。
九嶋:「そうこなくちゃ。なっ!」
奴はもう一度熊の手を振り下ろした。
俺は一瞬下がってすぐに蹴り飛ばす。
両手がふさがっていた九嶋は抵抗出来ずに吹っ飛んだ。
ムスッとした表情で立ち上がり、さっきまで座っていた椅子を蹴り飛ばしてくる。
重量がある椅子は片手で防げる程度にしか飛ばなかった。
俺はその椅子を持ち上げ、奴に向かって力一杯投げつけた。
熊の手でガードしたが、ダメージを受けている。
片手の武器を投げ捨てて猪が突進してくるように向かってきた。
九嶋:「死ねぇっ!」
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