~宿命~
奴が目の前に来るとできる限り小さくしゃがんだ。
重心が前方にかたよっているのに気づき、それを力とした。
読み通り俺につまずき、ヘッドスライディングで顔をすりながら滑っていく。
それでも戦おうと立ち上がる。
鼻や頬からは流血し、まぶたは腫れ上がっている。
九嶋:「クズに負けるか。カスっ!」
我慢なんてしようとは思わない。
ゆっくり歩き出し、自分の木刀を拾って素早く攻撃した。
熊の手をはめている方の肘(ひじ)を打ち、お腹にパンチを食い込ます。
奴は反撃出来ず、膝(ひざ)を着いた。
九嶋:「カスめ。死ねっ。」
折れた肘を押さえながら汚い言葉を吐きつける。
明隆:「他に言う事はあるか。」
九嶋:「まだまだある。カス、クズ、能無し、嫌われ者、死に損ない…グホッ!」
俺はそれ以上言わせなかった。
あばらを蹴り、肩に踵(かかと)落としを食らわす。
奴はしぶとくまだ笑っていた。
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