～宿命～

しかし、四天王だった事はある。
俺のパンチを当たるギリギリで避けた。
拳は後ろの壁に当たり、皮がめくれて血が流れ出す。
奴は俺の首を掴み、ジワジワといたぶるように手に力を入れていく。
明隆：「クソッ…タレ…ガ…」
体が軽くなり、意識が朦朧(もうろう)する中、奴の声だけが微かに聞こえた。
T：「な～んだ。しょうもなっ！弱過ぎて面白くねぇや。コイツ連れて帰れ。んで、気が付いたら強くなれって伝えといてくれ。ほらよ。」
Tは俺を投げ捨てた。
安居はいつ攻撃されてもおかしくない状況の中、俺に肩を貸し引きずるようにして一生懸命連れ出してくれた。
歩く事は出来なかったが、耳は聞こえていた。

Tの家が見えなくなると俺を座らせ泣きながら揺すって意識を取り戻させようとした。
安居：「ねぇ！起きてよ。そんな簡単にヤられてどうすんのよ！パートナーおいて死んだら許さないからね！」
俺は最後の言葉でハッキリと意識を取り戻した。
明隆：「勝手に殺すな。痛てて。あの野郎…。」
《バチン》痛む喉を擦っていると、安居が平手でほっぺたを打ってきた。