~宿命~
第8章 何とかなるもんさ
俺は気付かれる覚悟で屋根によじ登った。
さすがに左手だけで登るのは大変。
その上、重い右手のせいで重力という負担が俺を追い込む。
普段の2倍ぐらいの時間をかけてなんとか屋根に登った。
コンクリートで出来ている為、足音が響く。
俺は崩れそうな足場を忍び足で歩き、急な坂が見下ろせる位置にきた。
明隆:「頼むからかかってくれよ~。フンッ!」
下から苦労して持って上がった中ぐらいの石に念を込め、両手で力一杯放り投げた。
だが、俺の念は届かず、石は坂の一歩手前で止まってしまった。
明隆:「クソッ!こんな時にっ!!」
奴等は石にも俺にも気付いていない。
明隆:「絶対、助けてやっからなー!」
ツルツルの脳ミソをフル回転させ、使えそうな物を探した。
一つ方法を思い付いたが、大胆過ぎて奴等にバレてしまう。
そうなると、安居の身が危ない。
明隆:「あぁー、クソッ!他に方法はないんか!」
気持ちが空回りし、何も思い付かなかった。
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