~宿命~
明隆:「えっ…。嘘やろ…。」
踊り場で倒れていたのは犯人ではなく、お腹から血を流し、気を失っている近藤の姿だった。
俺は119番に電話し、救急車を呼んだ。
夜遅かったからか到着まで20分もかかった。
待っている間ずっと傷口を押さえ、話しかけ続けた。

救急車が到着後、黒崎に病院まで付いて行ってもらった。


残された俺ら9人はさくらの家で緊急集会を開いた。
明隆:「みんなも聞いたと思うが、近藤がストーカーにやられた。あの傷からして奴はナイフを持っとる。そんな奴に情けはいらん。全力で打ちのめせっ!新しい情報があればすぐに電話してくれ。俺はお前らを誇りに思う。以上!」

頭領だった俺を信じて動いてくれた結果、犠牲者を出してしまった。
何としても奴を捕まえてやると意気込み、泊まり込みで警護した。
その日はあれっきり現れなかった。

それからは何度か嫌がらせや迷惑電話など、ひねくれたガキがやりそうな程度が低い事をしてきたが、姿はみせなかった。
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