~宿命~
近い方の手を握り、思い出に浸った。
思い出す度に涙が溢れ出す。
明隆:「俺は一人になってしもた…俺は強くなって…お前の敵(かたき)を討って会いに来るからな。必ず会いにくる…必ず…。」
俺は止まらない涙を拭い、安居の頭を優しく撫でた。
安居はこれが大好きだった。
きっと今回も一人で任務をこなし、撫でて欲しかったのだろう。
明隆:「やっぱガキや…お前は。…辛いやろうけど耐えろよ。」
そう言って俺は部屋を出た。
俺の前を丁度、病院の先生が通り掛かった。
明隆:「先生!ちょっと話聞かせてもろていいですか?」
先生:「あぁ。安居さんか。彼女なら大丈夫だよ。」
明隆:「えっ?」
先生:「骨をおったショックで一時的に意識を失ってるだけだろうからすぐに目を覚ますよ。ただ…。」
明隆:「ただ何ですか?」
先生:「いや、問題ないだろう。お大事に。」
明隆:「そうですか…ありがとうございました。」
何を隠しているのか気になったまま病室に戻った。
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