放課後ラプソディ
 昨日の姉ちゃんはひどかったな……。いいかげん、病院行ったほうがいいんじゃないかって何度も言ってるんだけど、誰も行かせようとしないし、第一姉ちゃんが行こうとしない限りは……。

「アニメかー。風立ちぬ、見なかったな」

「え? おまえ、話聞いてないな」

 ヨモギは怪訝(けげん)そうな顔をしている。

 バレた。

 聞き流していた。考えごともしていた。でもまったく聞いてなかったわけじゃない。

「聞いてたよ」

「いまなんて言ったか、言ってみろよ」

 返事ができない。黙っていると、
「いいよ。ただ、カウボーイビバップの良さが伝わっただけでも、いいんだ」
 と、ヨモギは自分の話がほとんど聞き流されていたのに、怒らず、むしろ話を聞いてもらえて喜んでいるようだった。

「あんまり話しても、“知らない”で終わるから、話ができるだけでも嬉しいわけよ」
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