放課後ラプソディ
 急にヨモギがなにも言わなくなり、しげしげと俺の顔を見ていた。

 なんだ、気持ち悪い。

「なに? あんまりじろじろ見られるのって苦手」

「さっきからうわの空臭い」

 こいつ……、ほかに考えごとしながら話聞いてたの、気づいたのか?

「ああ、えーと、そうだなぁ」

 わけわからない返事になってしまった。ヨモギは「なんだよそれー。聞いてないんだったら正直に言えよ」と笑った。


――

 昨日のわが家は、破裂寸前だった。

 姉ちゃんがすごい勢いで母さんに八つ当たりしていた。

 そうでもしないとやりきれない現実のせいだ。

「もう死にたい! 生きていてもちーっともおもしろくない! つまらない! あたしなんて、早く死ねばいいのよ! そう思ってるのよね? 思ってるんでしょ!」

 声が外にまで聞こえたんじゃないか。俺はそれがまず気になった。

 別人じゃないかというほど、姉ちゃんは興奮状態でわめき散らし、大声で怒鳴り、泣いたりで、母さんもただ聞き役になっていた、いや、強制的に聞き役にされた。
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