偽りの婚約者
千夏の頬に唇を落として腕の中に抱きしめたまま眠りについた。
目が覚めて腕の中にいる千夏を誰よりも愛しく想う。
「嘘だったんですね?」
「何の事だ?」
「気持ちなんてないのに抱くためにあんな事を言ったんですね。
復讐が終わったら……玲奈さんとヨリを戻すんでしょ?」
自分の想いは伝わったと思っていた。
「計画は変更したんだ……間違ってた……お前に協力なんか頼むべきじゃなかった」
「離して下さいっ。
私はもう東條さんには必要ないんですよね。
だったら何で抱いたんですかっ!もう、やだっ……離してっ」
「勘違いするな」
離れようとした千夏を引き戻した。
「千夏が好きだ」