偽りの婚約者
「そろそろ、結婚の事を考えないといけないな」
「けっ……こんですか?」
この何ヵ月かはお見合いをして婚約者として東條さんと一緒にいた。
でもそれは偽の婚約者としてで、お互いの気持ちが分かって本当の意味で付き合い始めたのは最近。
だから結婚の話しが東條さんの口から出て来るなんて思ってなかった。
いつかは東條さんと結婚出来たらいいなとは思うけどでも……。
「そんなに驚く事か?」
「まだ……早いかなって……それに本当に私とで良いのかなと思って」
「……それはどういう意味だ?」
「……玲奈さんが婚約するって知ってましたか?」
「玲奈?今、関係ねぇだろう?」
「一度は玲奈さんと結婚するって決めてたんですよね?玲奈さんのお兄さんの邪魔がなかったら今ごろ玲奈さんが東條さんと結婚して一緒にここにいた筈です」
「玲奈との事は、もう過去の事だって言っただろう?玲奈だって秘書と婚約してやっと幸せになれるんだ良かったと思ってる」