偽りの婚約者


「千夏は純粋だよ。ずっと俺に復讐をやめてほしいって思っていただろう?」


「えっ!?何で……?」



何で分かったの?

協力すると約束しておきながら本当は復讐なんてやめてほしいってずっと思っていた。


復讐の話しになると冷酷になる。
そんな時の東條さんは怖くて見ていられなかった。
時おり見せる優しい笑顔に私は惹かれていた。



例え許せない事情があるとしても復讐はお互いに無傷ではすまない。
このまま復讐を遂げたらあの笑顔さえも無くしてしまうんじゃないか……そんなの嫌だなって思っていた。




「千夏が俺の復讐を止めてくれたんだ。
踏みとどまれて良かったと思ってる。
だからお前は自分を卑下するな」



「……東條さん」



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