偽りの婚約者
千夏も同じ気持ちだと思っていたのに勘違いだったのか?
「付き合う程度には好きだけど結婚したいとは思わないってそういう事か?」
「違いますっ!!そうじゃなくて不安だったんです」
千夏が違うと否定してくれて、ほっとしたが。
何が不安なんだ……?
「不安って何が?」
「私は、玲奈さんと違ってミスが多くて仕事が出来る方じゃないし美人でもない良いとこなんてない、だから東條さんがどうして好きになってくれたのか不思議です。
いつか失望されて東條さんが離れて行くんじゃないかって不安になるんです」
お前に失望するわけないだろう。
お前は分かってねぇよ―――――。
「美人だとか仕事が出来るとかそんな事で玲奈を好きになったわけじゃない。
あいつはお嬢様なのに、全然らしくない。
会社で玲奈と一緒にいる千夏なら分かるだろう?」
「お前の事だって……良いところがないだって?
そんなわけないだろう」