偽りの婚約者
突然の告白
お昼休みが終わり紗季さんは営業部に用があるからと先に戻ると主任しか戻って来てなかった。
「安西さん、ちょっといいかなぁ?」
「はい何ですか?」
「東條と付き合っているんだって?」
いきなり東條さんとの事を主任に訊かれてビックリしたけど前に紗季さんが二人は仲が良かったって言っていたから、きっと東條さんから聞いたんだね。
「東條さんから聞いたんですか?」
「この間、東條と会って聞いたんだ」
「そうなんですか?」
「安西さんは東條が何をしようとしていたか知っているんだよな?
あいつと付き合うなんて軽率だと思うな」
え?……いきなり何……?
主任が何を言いたいのか分からない。
「主任?言っている意味が分からないんですが」
「君は東條に利用されるところだったんだぞっ。
それを知った筈なのに何であいつとなんか付き合うんだ?」
「主任……どうして……」
あいつとなんかって……主任は東條さんと仲が良い筈なのに……。
「……あいつは復讐をやめたって言っていたけど……あれだけの事をされたんだ。
滝本慎一への恨みをそう簡単に消す事なんてできるわけない
。俺は安西さんの事が心配なんだ」
「でも東條さんはもう復讐はしないって言ってました」
「君は、それを簡単に信じたのか?」
ガラッと入り口から音がして誰かが入って来た。