偽りの婚約者
紗季さんは探るように私を見た。
「千夏が東條君の復讐に関わるなんてバカな事をするとは思わなかったわ。」
「でも東條さんは復讐をやめたんですっ。」
言い方はキツかったけど紗季さんは心配してくれてるんだって分かった。
全て紗季さんには話した方がもう心配もかけなくてすむかもしれない。
私は今までの事を紗季さんに話した。
「そういう事だったんだ。もっと早く話してくれれば良かったのに強迫して無理やりなんて酷い話しね」
「でも、復讐はやめるし私が大切な存在だって言ってくれました。
だからもう大丈夫です」
「千夏、あんたは甘い!!
誰が聞いたってそんな話しは、おかしいでしょ?
断言する千夏は騙されてるわよ。
恋は盲目って言うけど本当ね……ちょっと冷静になって考えなさい」
「私は騙されてなんていませんっ!!
東條さんとは結婚の約束だってしたんです。
紗季さんは東條さんの事を誤解しているんですよ」