偽りの婚約者



私は結婚に向けて進めて行きたいと言っていた東條さんの気持ちを伝えようとした。


でも、私が伝えようとしていた事は途中で遮られてしまい。


「千夏、彼は本当に信用してもいい人間なのか?」



さっきまで黙っていたお父さんが口を開いた。



「えっ?」



さっきまで気付かなかったけど、お父さんの顔はかなり険しいものになっていた。
どうしたっていうの?


「今日の昼間、ここに美香が来たんだけど変な手紙が来たっていうのよ」



「変な手紙って?」



「美香が言うには―――」



お母さんがお姉ちゃんから聞いた手紙の内容は東條さんが玲奈さんのお兄さんにしようとしていた復讐の事が書かれていた。



それから、玲奈さんと東條さんが恋人同士だったのに引き裂かれた事、東條さんがその復讐に私を利用しようとした事や何をさせたかったのか、そんな事が書かれていたようだった。


誰がそんな手紙を書いたんだろう?






< 189 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop