偽りの婚約者
駅に向かいながら彼の携帯電話にかけてみたけど繋がらない。
駅に着いて焦りと不安な思いを抱えながら電車に乗った。
東條さんは両親に問いつめられたら何て答えるんだろう?復讐の事を話すんだろうか。
それを聞いたら両親は何をおもうのか、きっと今まで通りにはいかなくなる。
彼と一緒にいたいって言ったら許してくれるかな……。
電車を降りてもう一度電話をかけてみるとやっと繋がった。
《東條さん、今どこにいますか?》
《これから会社を出るとこだけど》
《東條さんに話しておきたい事があるんです》
《話しておきたい事?》
《実は、お姉ちゃんが家に来たんです。
お姉ちゃんの所に差出人が分からない手紙がきてその手紙には東條さんがしようとしていた復讐の事が書いてありました》
《そうか、だから手紙に書いてある事が本当の事なのか確かめようと俺が呼び出されたって事なんだな……》
伝えたかった事は、東條さんにちゃんと伝わったようだった。