偽りの婚約者
偽りの関係
「千夏、おはよう。昨日のお見合いどうだったの?上手くいきそうなの?」
会社に出勤すると紗季さんは早速、昨日の事を聞いてきた。
「紗季さん……、その事はあまり話題にしたくないんですけど」
「もしかして駄目だったの?」
「……最悪です」
「そうなの?残念だったわね。またいい人が現れるわよ」
紗季さんは誤解していた。
「その人とは付き合うことになったんですけど、本当に最悪です」
「えっ?だって最悪だって言ったじゃない。
駄目になったんじゃないの?」
「えーとうまく説明できないんですけど、とりあえずお付き合いする事になりました」
3ヶ月だけだけど……
「千夏の話しは良く分からないんだけど。
それで、どうして最悪なの?」
どうしてか?それを知りたいのは私の方だ。
何でこんな状況に陥ってしまったのか?
「紗季さん、子会社の人なんですけど……東條雅人って男の人を知ってますか?」
「えっ……今、東條って言った?」
「あっ、はい。東條雅人って人ですけど……?」