偽りの婚約者
「もしかして、知ってるんですか?」
「……千夏のお見合い相手ってもしかして東條君なの?」
「紗季さん!?」
紗季さんは、何故か急に思いつめたような表情になった。
「千夏、東條君はやめた方がいいわよ」
「えっと……どうしてですか?」
「きっとあなたが辛い想いをする事になるからよ」
「……それは、どういう意味ですか?」
「ごめんね。今はこれしか言えないの……」
紗季さんは東條雅人の事を知っているようだった。
それに何だか様子が変だ。
紗季さんは東條雅人がやろうとしている事を知っているとか?
もしかして、経理課の知り合いって紗季さんなんだろうか。
考え過ぎかな……。
いろいろと考えてしまって、分からなくなってきてしまった……。