偽りの婚約者
千夏を連れて父さん達に会いに行く事にした。
結婚の事も報告したいし一旦は退院したけど、また最近悪くなり入院したと聞いて様子を見に行きたいと思っていたからちょうどいい。
病室に行くと思ったより元気そうで安心した。
「雅人……、千夏さんと二人だけで話しがしたいんだけどいいか?」
「……?何の話しだよ」
「雅人、喉が渇いちゃって……、しばらく付き合ってくれない?
話したいこともあるから、千夏さん……少しの間お願い出来るかしら」
「は、はい、大丈夫です」
俺は、しばらく渋っていたけど母さんに病室から引っ張りだされてしまった。
「千夏に何の話しか母さんは知っているんだろう?」
「知らないわよ。気になるのなら後で直接お父さんに訊きなさい」
母さんは、きっと知っているのだと思う。
多分、口止めされたんだろう。
仕方ねぇ、後で千夏に訊くか……。