偽りの婚約者
「それでは……お時間です。行きましょう」
「はい……」
少し長いウェディングドレスを引きずりながら、控え室を出る。
扉の前で待っていた父と腕を組み待っていてくれる彼の元に……少しずつ進んで行く。
東條さんの元に辿り着くと彼は笑顔で私の手を取り、二人で祭壇に進んで行った。
これから先きっといろいろな事があると思う。
でも、東條さんとだったら一緒に乗り越えていけるはず。
きっと、大丈夫。
「それでは指輪を――…」
神父さんの言葉にあわせて指輪がお互いの薬指に、はまった。
そのまま、誓いの口づけを交わす。
「……千夏、幸せになろうな」
「……はい、これからもずっとずっと───……」
-END-