偽りの婚約者



時計のアラームが鳴り、重い瞼を何とか開けて支度をし始めた。



自分の部屋を出て階段を降りると早速お母さんからお見合いの話しをされた。



「千夏、姉さんから電話があってお見合いは2週間後に決まったそうよ」



「えっ!?……もう日にちが決まったの?」



「こういう事は早い方がいいんだって、先方から言ってきたのよ」



こう言うことは早い方がいい、か……。
なんか、せかされてる感じ。お見合いって、こういうものなのかな……。


はぁ……やっぱり気が重くなってきたなぁ。


何気なく視線を上げると置き時計が目に入った。

もうこんな時間!!まずいっ。


早く支度しないと遅刻しちゃう!
私は急いで朝食をすませた。



「行ってきまーす!」


家を出て、私は急ぎで電車に乗って三つ目の駅で降りて会社に向かった。



駅からそんなに離れていないところに私が勤めている北川商事がある。

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