偽りの婚約者
なんだか、本当は思っていたほど最低な人ではないのかもしれない。
「脅迫された事はまだ許せそうにないけど、BARにいる間、同じ空間にいてもだんだん苦痛ではなくなりました」
「……それは、少しは関係が改善出来たって思ってもいいって事か?」
「はい、少しは改善出来たかもしれないですね」
「そうか良かった。
これからは、俺達上手くやっていけそうだな?」
「……!?」
驚いた。
東條雅人は初めて私に笑顔を見せた。
この人には、こういう笑顔が似合ってると思う
。
さっきのような冷酷な顔は、もう見たくないよ。