偽りの婚約者
「じゃあ、一体何ですか?
言っときますけど私はそういうつもりはないですから。これは要りません」
もう一度、彼の目の前に鍵をつきだした。
「……お前の勘違いだ。
これから協力して貰う為に話しをする必要があるだろう?そういう時はここで話した方が安全だからだ。
それで鍵を渡しておいた方がいいと思っただけ」
安全?
東條さんがやろうとしている事はそんなに危ないことなの?
「契約に体の関係は含まれてねぇから安心しろよ」
「……そんなに危険な事なんですか?」
「いや、相手は金の力で何でも出来る油断できないヤツって事だ。
とりあえず持っててくれ」
また、彼の目が冷たく光った。
あと、何回こんな冷酷な彼を見なくてはならないのだろう……。
「だったら確実にあなたがいる時に、ここへくればいいんじゃ……」
「いいから持ってろ。
これ以上、鍵の事でお前と話す気はねぇから。返す必要も無し」