偽りの婚約者
知らなかった事実



紗季さんとはいつか話した時以来、東條さんとのことは話題にする事はなかった。



でも……今日、紗季さんは私に東條さんとの事を訊いてきた。



「……千夏は東條君とどうなってるの?」


「え?えっと……」



そんな質問に、どう答えたらいいのか私は分からなくて……


返事に困っていると、紗季さんは言葉を続けた。



「二人は、つき合っているの?」



紗季さんは思いつめた顔で聞いてきた。


形だけの偽婚約者だけど……



「はい、つき合ってます」と応えた。



「……この前、言ったはずよね?やめた方がいいって」



目の前には、いつもと違う強い口調で話す紗季さんがいて。
凄く怖い顔をしていた。



「紗季さん?どうして、そんな怖い顔で……」







< 47 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop