偽りの婚約者
《お前どういうつもりだ?酔っぱらってるんだろう?
男と一緒じゃないだろうな?》
《わ・た・し・がっ、男の人と一緒でも……
別に構わないでしょ……。
私は……私はぁ、あなたの本当の婚約者じゃないん……ですよぉ……》
《言えっ!!今、どこだっ?》
さっきまでの声よりもさらに、低く恐ろしい声に初めてbarで過ごした時の冷酷な顔が重なった。
急に怖くなった。
逆らったら何があるか分からない。
そう感じて、この場所にいると言ってしまった。
彼は迎えに行くから待つようにと言って電話を切ってしまった。