偽りの婚約者
紗季さんの話しを聞いて一人になって考えたいそう思って、ここに来たのに結局は会う事になってしまった。
さっきは、お酒の力を借りて大胆な事を言ってしまった気がする。
やっぱり無理っ!!
電話でも分かるほど凄く怒っている声だったし……
このまま会うなんて怖い。
帰っちゃおうかな……。
今なら逃げられるかもしれない。
行動をおこすなら今しかない!
そう、思いたったら何とかって言うし。
椅子から立ちあがった時ちょっと、よろめいてしまったけど。
東條さんが来る前に、一刻も早くここから出たい。
「安西さん大丈夫ですか」
バーテンさんは目の前でよろめいた私を心配そうに見た。
「大丈夫です」
バーテンさん心配してくれてありがとうございます。
でも今、私は物凄く焦っているんです。
だから素っ気ない返事しか返せなくてごめんなさい。
「おかえりですか?」
「はい帰ります」
「いつもより飲んだみたいだから気をつけて帰って下さいね」