偽りの婚約者



再び唇を奪われて、さっきのような深い口づけに何も考えられなくなってしまった。



首筋に唇が這わされ耳たぶを軽く噛まれた。


感じた事のない感覚が体の奥から突き上げてくる。


自分の体がふわりと浮いて、寝室に運ばれ。
ベッドに下ろされて彼が一瞬、放れた時に冷気を感じてぶるっと身震いした。



寒気を感じて急に頭が冴えて来て今、自分がどんな状況なのかやっと理解した。


こんなの、ダメだよっ。


ハッとなってベッドから出ようとしたけれど――――。



彼の動きの方が一瞬早くウエストに手が回り戻された。
そのままベッドに押さえつけられ上から覆い被さられ身動きが出来ない。



「駄目だっ!!逃がさねぇ」



やだよっ……こんなの嫌だよっ。



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