偽りの婚約者



「……じゃあ、復讐はやめたんですか?」



「こっちが、やり返してもまた相手が憎しみを持つ。いつまでも終わりがない、これじゃあ前に進めないからな」



私が話しを聞ける状態になった所で寝室からリビングに場所を移して東條さんは今までの事を全て私に話してくれた。



玲奈さんと東條さんが別れた訳。
玲奈さんのお兄さんがご両親に対してした酷い仕打ちのせいで復讐を考えた事を。



そして最後に復讐はやめたんだと言った。



「良かったです。
復讐を口にした時の東條さんは凄く怖かった。あんな冷酷な顔の東條さんより今のような東條さんがいいです。
笑顔の東條さんは凄く素敵だから」




復讐をやめると聞いてホッとして思っていた事を正直に話すと。



「おい、何だか上から目線だな?」



「生意気でしたね。ごめんなさい」


「別に怒ってねぇよ。一応褒めてくれたんだろうし?」









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