偽りの婚約者
「ところで……東條君は玲奈とは、どういうつもりで付き合っているのかな?」
隣にいる玲奈とお互い確認するように顔を見合わせた。
「玲奈さんとは、結婚を考えています」
正直に答えると、にこやかな表情は一転、渋い顔に変わった。
「結婚をね……それは困ったなぁ」
「玲奈も同じ気持ちかい?」
「はい!止められても私は彼と結婚します!」
玲奈が答えたあと、玲奈の父親とお兄さんは二人して渋い顔をしていた。
すんなりいくとは思わなかったけど、今日来た目的だけは遂げられた。
とにかく玲奈との結婚の宣言だけは、絶対にしておきたかった。
だから、今日の所はこれで良いかなと思った。
だけど……。