A promiseーあの日の約束ー

「ねぇ、聞いてる!?」

何も言わない私に男の子は少し声を荒上げた。


そして……。

ドンッ

いつの間にか近くに来ていた男の子が、私の顔の横に手を着いた。

びくっと肩が上がった。

……いつの間にか壁に追い込まれていたらしい。


「聞いてます!でも私、そういう気は……」

「安心して?付き合ったら俺一途だし、俺の事好きにならせるから」

……嘘にしか聞こえない。


「だから……ね?」

段々近付いてくる男の子の顔。

……頭が真っ白になる。

突き飛ばそうにも身体が全く動かない。


そうする間にも近付いてくる。

あの時と重なる。

あの時も私は逃げれなかった。

それで、心がぼろぼろになった。


……い……いや……嫌!!

誰か……。

「たす……けてっ……!!」

もう後数センチで重なる唇。

なんとかその声を絞り出した。


助けてくれる人なんて此処にはいないのに。

……何故か夢に出てくるあの男の子が思い浮かんだ。
< 23 / 32 >

この作品をシェア

pagetop