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 「ごもっとも」と花丸は首を縦に三度振った。「ですから、『たいへん君』だとか、『できました君』という具合に分割されます」
「めんどくさい学生時代ですね」
「分割される渾名というのは一度に二度楽しめますが、それでも共感してもらい光栄です」
 別に、共感したわけではない、と胡桃は未だ続いている握手を強引に幾分か荒く解く。やはり、国際情勢は荒れるらしい。いつの時代も荒々しく条約は決定され、権力者は肥える。
「で、どちらまで行くのかしら?」
 胡桃は話題を変えた。
「あなたの終着駅まで」
 ザ・キモイ。とは花丸銀二のことだろう、と胡桃は思った。出会って早々、こんな腐ったセリフを放つ人間を信用してはならない。約二時間、この男が隣にいるとなると時間経過が遅そうだ。
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