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五号車

 「爪、切った方がいいよ。全然切ってないでしょ?」
 鳩葉は背負っていたギターケースを座席の足下に置いた。上の棚に置いてもいいのだが、列車というのは振動もあれば、事故もある。元来が心配性なのだ。それに、ギターは大事。
「う、うん」
 との彼氏でもある青葉が歯切れの悪い返事をした。はあはあと息を切らせながら。「鳩葉ちゃん。別に走ることなかったんじゃない?」
「どうして?時間は有限よ」
 鳩葉は訊いた。
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