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 「マナちゃん、そんな話しはしてませんよ。林檎についてのお話をしていたんです」
 先生は取り繕う。それは苦し紛れであり、どこか嘘めいて聞こえていることは明白だった。
「えっ」と梨花はわざとらしく驚き、「先生の彼氏の唾液が林檎味なのよ、セックスって最高って言ってたじゃん。先生、先生」
 同じ単語を二度続けることは、梨花は好まない。だけど、この場では効果的だ。
「先生・・・・・・」
 とショックがでかいのかマナは次の言葉が続かなかった。
「でも、マナちゃんも罪ね」
 梨花は林檎を果汁を飛ばしながら齧る。徐々に手がべとつき始めた。
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