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 心が乱れているのかもしれない。梨花は吐き気を催し、さらには尿意をもよおし、三号室と二号室の間にあるトレイに向かっていた。絹枝の母親的表情を見て、なにか心が揺れ動くのを感じた。 
 三号室は四号室とは違い、〝余裕〟の二文字を纏っていた。梨花はぐるりと辺りを見回し、ある二人連れに目を釘づけにされた。正確には黒髪の女性。
 綺麗。
 大人びた表情が梨花に、憧れ、を想起させた。その黒髪の女性を見つめた。
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