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  恭一も言っていたではないか、終わりにしないといけない、と。
「赤城よ」
 鈴音は恭一の唇が触れ合う距離に近づいた。
「知ってる」
 微風を思わせる吐息が鈴音の頬を通過した。
「サヨナラな気がするのは気のせい?」 
「気のせいではない。鈴音が俺と出会ったのには意味がある。その意味を君はこれから見つけていかなければならない。その答えは、今すぐにわかるかもしれないし、遠い未来に待っているかもしれない。少なからず、俺という存在は君にとってなんらかの意味を見いだしたはずだ」
「シャーマンみたいに」
「媒介。という位置づけでいえば、そうかもしれない」
 列車は停車した。
 鈴音は自ら恭一の唇に触れた。その唇は冷たかった。しかし、彼女の唇の温もりが、ほのかに恭一の唇に熱を宿しているように思えた。
 人は思い込みの中で生きている。
 鈴音は目を閉じた。そして、開いた。
 隣にいた恭一の存在は消えていた。鈴音は自分の唇に触れた。湿っていた。
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