HELP
 焦らす。
 その焦らしに絶えられなくなり、胡桃は自ら銀次の唇に触れた。彼が、ふっと笑ったように見えた。
 互いの唇が離れ、「たいへんよくできました」と銀次が言った。
「当然よ」
 と胡桃。
 車内からは赤城山が見え、太陽が山の頂きを照らしていた。
『荷物を運ぶという作業は困難を極めたでしょうか?しかし、それも旅の一つのイベントであります。人は助けを必要とし、助け合い、その些細な善意が、好感を呼び、人を惹きつけ、愛に変わる。りょうもう号の旅で、一人でも多く、そのような観点に気づいてくれる人が増えることを願って。そして、HELPをLOVE、に』
 最後の車内アナウンスが流れた。まばらだが、残っていた車内の乗客から拍手が涌き起こった。
「たいへんよくできました」
 胡桃は姿の見えない駅員に言い、もう一度、銀次にキスをした。ラブを押しつけて。
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