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 恭一が腕時計をしきりに気にしている。
「時間が気になる?」
 鈴音は訊いた。
「発車時刻が迫っている。急ごう」
 そう言って恭一は鈴音の手を掴み、走り出した。わずか数十メートルの距離でも走ったせいで息は切れ、喉がより一層渇いた。持っていたペットボトルの水は、あげまんじゅうと一緒に胃に流し込まれていた。
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