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 「あのねマモルは将来有望なの。あなたなんかと付き合っていたら、勉強が、お、お、おろそかになって、有名大学、有名企業に入れないじゃないですか」
 ねっとりした赤い口紅をつけ、膨らんだ頬をさらに膨張させ、ひび割れたファンデーションが痛々しい絹枝を、梨花は可哀想な人と思った。
「それが彼を苦しめているのに?」
「苦しめているですって?馬鹿おっしゃい。マモルは将来のために嬉々として勉強に励んでいますわよ」
 将来の為に、と絹枝は念を押すように言った。
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