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「そこ、私の席なんだけど」
とドライな口調を手の平に乗せ、鳥男に向かって頬にビンタを炸裂させた。パチン、と綺麗な音を車内に響く。ひとつにまとまっていた車内がその音でにわかにざわつき出す。
「いきなり何するんだよ」
と鳥男は頬に手を当てながら、目が泳いだ。
「そこ、私の席なんだけど」
もう一度、梨花は言った。
その一言に鳥男が特急券を確認する。はっとしたのが梨花にもわかった。
すっと立ち上がった鳥男は梨花に向かって深々とお辞儀をし、顔を上げた。「申し訳ない。僕が間違っていました。ビンタされて当然です。なぜなら席が間違っていたからです」
鳥男が訂正と謝罪を放ったと同時に、先ほどの初老の男が今度は初老の女を伴って颯爽と登場した。もしかしたら本当にこのメンバーで舞台公演ができるのではないか、そんな疑念が梨花の頭をよぎる。
とドライな口調を手の平に乗せ、鳥男に向かって頬にビンタを炸裂させた。パチン、と綺麗な音を車内に響く。ひとつにまとまっていた車内がその音でにわかにざわつき出す。
「いきなり何するんだよ」
と鳥男は頬に手を当てながら、目が泳いだ。
「そこ、私の席なんだけど」
もう一度、梨花は言った。
その一言に鳥男が特急券を確認する。はっとしたのが梨花にもわかった。
すっと立ち上がった鳥男は梨花に向かって深々とお辞儀をし、顔を上げた。「申し訳ない。僕が間違っていました。ビンタされて当然です。なぜなら席が間違っていたからです」
鳥男が訂正と謝罪を放ったと同時に、先ほどの初老の男が今度は初老の女を伴って颯爽と登場した。もしかしたら本当にこのメンバーで舞台公演ができるのではないか、そんな疑念が梨花の頭をよぎる。