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五号車
鳩葉はパチン、パチンと、リズミカルな音を立てる車内に耳をそばだてる。快音が耳を通過し、その刹那目を開けた。隣で青葉が指の爪を切っている。均一に切り揃えられていく爪は鳩葉にインスピレーションを与えつつある。
「爪切りを持っているとは思わなかった」
鳩葉は言った。
「僕も本当は持っているつもりではなかった。でも、持っていこうと思ったんだ」
と青葉。
「なぜ?」
「なにが起きるかわからないからだよ、鳩葉ちゃん」
「なにが起きるかわからない」
鳩葉は反復した。
「これから四号車に向い、拳銃の真偽を確かめにいくなんて、誰が想像したかな?少なからず僕は想像できなかった。一度、リセットする必要がある」
「爪切りを持っているとは思わなかった」
鳩葉は言った。
「僕も本当は持っているつもりではなかった。でも、持っていこうと思ったんだ」
と青葉。
「なぜ?」
「なにが起きるかわからないからだよ、鳩葉ちゃん」
「なにが起きるかわからない」
鳩葉は反復した。
「これから四号車に向い、拳銃の真偽を確かめにいくなんて、誰が想像したかな?少なからず僕は想像できなかった。一度、リセットする必要がある」