ノスタルジア
見ていたテレビ番組もつまらないニュースに変わって、暇になった私。
お風呂上がりで乾ききっていない髪を揺らしながら、澪のいるベランダへと出た。
「澪はお酒が好きだね。毎日飲んでる」
「はは、そうだね」
「お酒って美味しいの?」
「ダメだよ、未成年にはあげられない」
物珍しそうに彼の持つグラスを見ていると、ニッと意地悪そうに笑った彼がこちらを向く。
「お酒は子供は飲んじゃダメなのに、澪はいいんだ」
「アホか、21歳だっての俺は」
「澪は21歳なんだ。私は何歳だろう?」
「……さぁ。何歳だろうね」
曖昧にはぐらかす、彼の言葉。
だけど、あまり不思議には思わなかった。