ノスタルジア
澪の過去が載る、そのアルバムの中。
制服を着ている澪の隣。
浴衣を着ている澪の隣。
知景に肩を組まされて、苦い顔している澪の隣。
そこに写っていたのは、紛れもない私の姿だった。
その私は、彼の隣で澪と同じような制服を着て屈託のない笑みを浮かべている。
その私は、彼の隣で綺麗な花柄の浴衣を着ていちご飴を頬張っている。
その私は、彼の隣で澪の苦い顔を見て楽しそうに笑っている。
何枚もめくるページのひとつひとつに。
何枚も貼られている写真のひとつひとつに。
居たはずのない私が、その全てに写りこんでいた。