ノスタルジア
「澪は毎晩、なんでここで飲むの?寒いのに」
「……物語を、考えてる」
「物語……?」
「そう」
不思議そうに首を傾げた私を、彼はちょいちょいと右手で招いた。
誘導されるままに近づいて、その手に捕まる。
「椅子はひとつしかないから、君の席はここ」
そう言って、座らされたのは椅子に座る澪の膝の上。
星を見上げる彼の太ももに横座りをして、近くなった距離にちょっと戸惑った。
「重くない?」
「少し重いかな、昔の君と比べると」
「?」
そしてまた彼は意味不明な言葉を吐き出す。