ノスタルジア
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夏が近づいて、窓の外から蝉の鳴き声が聞こえる。
「ねぇ見て、澪」
自室で壁側のデスクに向かいながら本を読んでいると背中の向こうで、バンッと部屋のドアがガサツに開けられる音がした。
「どうしたの」
するりと読んでいた本に栞をはさめて、デスクに肘をついたまま彼女の方へと振り返る。
「──────」
「……澪ー?」
不意打ちに、言葉が出なかった。