ノスタルジア
「さくら!!」
思わず、店内だということも忘れて大きな声が出る。
「前に見たいって言ってたじゃん」
「……うん!」
「だけど、もう時期的には難しいから」
小さくて透明な箱の中。
そこには、鮮やかなピンク色したさくらの花びらがたくさん詰まっていて。
「まぁ、本当のさくらじゃなくて悪いんだけど」
「え、本物じゃないの?」
「それは入浴剤。お風呂にお湯張って、それを散りばめるんだよ」
「すごい! さくら風呂だ!」
「本物じゃないけど、嬉しい?」
「すっごく!」
「そう、良かった」